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きのこ栽培のおはなし②「菌床栽培における発生の方法いろいろ」

きのこ栽培のおはなし②「菌床栽培における発生の方法いろいろ」

今日の!<これだけ知っていればOK!>
・きのこ栽培には主に原木栽培と菌床栽培があるよ!
・菌床栽培ではオガクズやヌカなどを混ぜて作る菌床を使うよ!
・菌床は殺菌後、菌を植えて一定期間培養するよ!

・菌床栽培はビン栽培とブロック栽培で発生処理の仕方が違うよ!
・培養条件はどのきのこも同じだけど発生条件は全然違うよ!

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さてさて、前回までに菌床栽培で使う材料や培養の工程について書きました。
一般的に30日から90日にも及ぶ培養期間が終わった菌床からどのようにしてきのこは発生させるのでしょうか??

どのきのこにも何かしら刺激を与えてやる必要があります。これを「発生処理」と言います。
発生処理の方法はいろいろあります。

ここまでで詳しく書いていませんでしたが菌床栽培にはいくつかの形態があります。
一番メジャーなのがビンに培地を詰めるタイプのビン栽培ですが、ブロック型に成形した菌床もあります。
↓下の表のようにエノキタケやエリンギなどのビン栽培の発生処理では培地表面の菌糸をかき取ってやります
アラゲキクラゲでは菌床にカッターなどの刃物でスリットを入れます
シイタケでは菌床が入っている袋を破って完全に除去してやります

そしてこのような発生処理の後はついにきのこを出せる状態となります。

 
暗くてじめじめしたところにおいておくのかな??

「じめじめしたところ」はだいたい正解だけど、「暗いところ」はだいたい不正解(笑)!!


きのこはじめじめしたところが好きですが実は光を必要とする生き物なのです。
だから光が無いときのこはカサが小さくなったり、柄が伸びたりします。
この点、エノキタケは暗いところで栽培させてあの、もやしみたいな形状にしていますね。

ここで面白いのがきのこ栽培のおはなし①に書いたように培養は20-23℃、湿度65%程度の暗い部屋に置いておけば大体OKなのですが発生の段階はきのこの種類によってぜんぜん条件が異なります。

ここでは私が知っている範囲でご紹介しましょう。
(知っている範囲なので怪しい部分もありますが概ね間違っていないはず笑)

エノキタケは低温を好むきのこなので他のきのこよりも低い温度で栽培します。
シイタケもある程度低温を好みますがそれよりもやや乾燥した状態で栽培するところが特徴でしょう。

この中でも異彩を放っているのがアラゲキクラゲですね。
他のきのこもある程度の湿度を欲しますがアラゲキクラゲはダイレクトに水を一日1‐3回くらいかけてやらないとすぐに乾いてしぼんでしまいます!栽培初期でなければ乾いても水をかければある程度戻るところも面白いです(アラゲキクラゲの栽培初期や他のきのこの場合、一度乾燥すると致命的なダメージを与える場合もあるのでご留意を!)

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[まとめ]
簡単に書きましたがきのこ栽培は奥が深いです。やっぱり生き物なので思った通りにはならないことも多いですね。上に書いていない条件として光や二酸化炭素、換気による空気の流れなどにも影響をうけます。このあたりはもし試される方がおられましたら独自に検討してもらう必要もあるかと思います

私がよく生産者に言うのが「その施設について一番詳しいのはその生産者であるべきだ」、ということです。日々、そこできのこを育てておられる生産者がその施設の問題点などを一番知っていてしかるべきなのです。だからいつも私は生産者に問題が起こった時、まずは教科書通りの基本的なことを提案してあげることしかできないことを申し訳なく感じます。きくらげのおはなし⑤「アラゲキクラゲ国内生産における問題~病害虫~」に書いたようなきのこの病気とか問題点がはっきりしていれば対処はしやすいのですが。。

今日の!<これだけ知っていればOK!>
・きのこ栽培には主に原木栽培と菌床栽培があるよ!
・菌床栽培ではオガクズやヌカなどを混ぜて作る菌床を使うよ!
・菌床は殺菌後、菌を植えて一定期間培養するよ!

・菌床栽培はビン栽培とブロック栽培で発生処理の仕方が違うよ!
・培養条件はどのきのこも同じだけど発生条件は全然違うよ!

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