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きのことSDGsのおはなし⑤~きのこを通した国際貢献~インド・カシミール地方の大学SKUAST-Kashmirからの研究者受け入れのご報告1

実に1年ぶりの投稿です。
皆様お久しぶりです。

この1年、海外のお客様を弊所、菌蕈研究所で受け入れましたので私自身の備忘録としても感じたことなど書いてみようかと思い立ちました。

昨年の初夏ぐらいだったでしょうか。インドのカシミール地方(図1)にあるSher-e-Kashmir University of Agricultural Sciences and Technology of Kashmir (通称:SKUAST-Kashmir)という大学に所属するAssistant ProfessorであるDr. Khurshid Ahmad Bhat氏からシイタケの栽培について教わりたいと連絡をもらいました。

図1:ジャンムー・カシミール連邦直轄領の位置
かなり北部に位置することが分かります。

インドはご存知の通り、広大な国土面積(世界7位)を誇り、多様な地形を有することから気候も様々です。読者の皆さんも「インド」と聞いてイメージするように高温域が広く(湿潤や乾燥の違いはありますが)、比較的低温(15℃弱)を好むシイタケの栽培には最適とは言い難い気候条件です。しかし、カシミール地方はジャンムー・カシミール連邦直轄領内にあり、すぐ近くにヒマラヤ山脈もあることから冷涼な気候です。そのため、避暑地としても知られ、特産品のリンゴ栽培が盛んです(図2)。今調べたら6月上旬現在の気温は15℃だそうです。結構涼しそうですね。それにシイタケ栽培に最適な気温です。でも湿度はどうなんでしょうね。

図2:カシミールにおけるリンゴ栽培
すごい量のりんごです。そしておいしそう。。日本にリンゴの血を引いているのだとか。インドルピーが2円/ルピーくらいなので左上の写真からすると500gが300円くらい。当地の物価からするとそれなりのお値段で特産品として扱われているのだと思われます。

インドでは上記のように高温域が広く、そこではヒラタケやツクリタケ(図3:いわゆるマッシュルーム)が栽培されており、インド国外から菌床を輸入して国内で栽培する菌床栽培はもちろんあると思われますがインド国内でオガ粉から調達して菌床をいちから調製して行うきのこ栽培はシイタケを含めてあまりされていないとのことでした。

図3:ツクリタケ(いわゆるマッシュルーム)の栽培。
他のきのこのように樹木のオガ粉を使用することなく、馬糞や稲わらを混合して発酵することで菌床を準備します。

この理由には栽培に適した基材(木材)が無いことも関係しているようでオガ粉を用いたきのこ菌床栽培はマイナーなようです。しかし、カシミールではリンゴ栽培が盛んでその副産物である剪定枝が大量にあります。そこに注目したのがDr. Khurshid Ahmad Bhat氏であり、このリンゴ剪定枝のオガ粉から菌床を調製し、シイタケの栽培をインド独自の材料で行うのが最終目的です(図4)。

図4:リンゴ剪定枝とシイタケ菌床栽培の例。
果たしてこの構図は成功するのでしょうか?

しかしながら上記のようにシイタケの栽培に関するノウハウはほぼありません。そこで弊所、菌蕈研究所で2023年9月から10月末までの2ヶ月間でインドには無いシイタケの栽培から育種(品種改良)に至るまでの技術を学びたいと連絡されてきたのでした。

海外からの研究者の本格的な受入れをするには普通1年程度前から準備が開始されますが、今回は結構ギリギリのスケジュールでした。かなりバタバタとしましたがどうにか予定通り、2023年9月1日よりDr.の受入れを開始することができました。

次回は彼の滞在した2ヶ月の様子などを書いてみようと思います。
お読みいただきありがとうございました。

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