きのこ研究者が一般の方から生産者、研究者向けにユルく、時にスルドく「きのこの話題」を提供するブログです! In this blog, mycologist-O provides mushroom topics from the general public to producers and researchers!

総説「アラゲキクラゲの国内生産における現状と課題」(日本きのこ学会誌)掲載のお知らせ!

総説「アラゲキクラゲの国内生産における現状と課題」(日本きのこ学会誌)掲載のお知らせ!

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きのこ学会誌に拙著の総説「アラゲキクラゲの国内生産における現状と課題」が掲載されましたのでお知らせいたします!

が、しかし!

 きのこ学会会員じゃないと読めないんです。申し訳ありません!全文読まれたい方は会員になってください!学会費もそんなに高くないですし(勧誘)!!!

で、なんでこんなに柄にもなくテンションが上がっているのかというと、この総説、なんと構想を練り始めてから3年以上経過しており、やっとのことで原稿を完成させ、審査もパス、掲載に至ったという労作なんです(おい、時間かけすぎだろ!というお言葉、喜んで甘受いたします笑)!

参考までにここでいう「総説」とは、一般的な原著論文とは異なり、新規性はないものの研究対象について網羅的に記した論文であり、これを書ければその道の第一人者といっても良い(のではないかと自分は考えている)。内容が網羅的になっているため、一からその分野や対象について知りたいときに非常に参考になるのがこの「総説」です。

3年以上と書いてますがずっと書き続けていたわけではなく、何も弄ることなく半年くらい放置していた時もあったという。。でも時間をかけた分、情報が色々なところから入ってきて広い視野でこのきのこ(アラゲキクラゲ)について考えることもできましたことは僥倖でした。

ちなみにここで言う「オフェンス・ディフェンス」とはディスカッションにおける攻防戦を指します。当然、オフェンスが攻める側、ディフェンスが守る側でそれぞれ自分の考えに基づき、相手と議論という名の攻防戦をするわけです。日本ではそこまでの激論は見られないですが海外の博士論文における審査は正に攻防戦であり、しかも長丁場。イギリスで学位をとった人から聞いたところによると朝から晩までかかったとか・・・海外の研究者がディスカッションに強いわけですよね。日本でも昔の大学教授なんかは卒論発表の場で「お前の研究方針は間違っとる!!!」とその担当教官がいる前で舌鋒鋭く攻撃して周りが凍り付いていた時代もありましたが(遠い目)・・・

さて、拙著「アラゲキクラゲの国内生産における現状と課題」ですが当然、著作権が学会誌に渡っていますので内容そのままを掲載することは残念ながらできません!でも学会の規定では図表なんかも含めて掲載内容そのままじゃなかったらOKという趣旨なのでここでは各項のあらましのようなものを掲載しようかと思います。(各項のタイトルくらいは開示しても許されるであろうことを天に祈りつつ・・)

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[「アラゲキクラゲの国内生産における現状と課題」の各項あらまし]
※各項はだいたいこれまでこのブログでお話してきた内容をベースにしていますのでそれぞれのページのリンクをつけておきます。
1.はじめに →アラゲキクラゲの国内生産は活発化する傾向にあるが今後の国内生産基盤の強化と発展には以下のような課題の解決が必要だ!

2.アラゲキクラゲ国内生産動向 →外国産のリスクが顕在化したことで国内生産は活発化し、生産を拡大する産地(県)が出現してきた。このような傾向にあるものの外国産は国内産と比較してかなり安く、国内産アラゲキクラゲの競争力をなんとかして強化しなければならない!

3.アラゲキクラゲ国内生産における課題
3-1. 栽培品種の育成 →国内主要きのこと比較してアラゲキクラゲの品種数は圧倒的に少ない!例えばシイタケ238品種に対して弊所、(一財)日本きのこセンターが開発してきた品種(菌興AP1号、菌興92号、等)を含め、アラゲキクラゲは未だ9品種!これでは国内生産基盤は脆弱と言わざるを得ない!

アラゲキクラゲの菌床栽培 左が通常の栽培品種(菌興AP1号)、右が白色変異栽培品種(菌興92号)

3-2. 栽培技術の検討 →これまでアラゲキクラゲは輸入に供給を依存していたので栽培方法(菌床の配合や各種条件)があまり検討されてこなかった。でも最近はそれぞれの地域で使える地域色の強い材料(例:サトウキビの搾りかすとか)も使われている。貝化石等の炭酸カルシウム資材の添加はアラゲキクラゲの栽培において必須である!

貝化石を添加した培地における菌糸伸長試験

3-3. 病虫害対策 →アラゲキクラゲの生産が増加するとともにその被害が増えつつあるのが各種病虫害!中でもリュウコツナガマドキノコバエといったハエの幼虫の食害やHypomyces pseudocorticiicolaによる「綿腐病」は時として致命的な被害をもたらすのでご注意!国内生産が活発化する過程でさらにこのような病虫害が新たに発見される可能性も有り得る!

Hypomyces pseudocorticiicolaによる「綿腐病」

3-4. 分類学的再検討と食品表示の適正化 →実はアラゲキクラゲはアラゲキクラゲじゃない!?なんのこっちゃ?分類学上の課題とは?あとはアラゲキクラゲの商品でよく見かける名称を「キクラゲ」としか書かないのってどうなんだ??食品表示法上の課題は偽装表示も助長しかねないからどうにかするべき!

実はアラゲキクラゲなのに名称は「キクラゲ」。
アラゲキクラゲとキクラゲは別種であり、キクラゲの方が値段は高い!

3-5. アラゲキクラゲ国内生産拡大に伴う将来的な脅威と課題 →シイタケでは2000年代に偽装表示販売による大きな被害が出た。アラゲキクラゲではこのような被害はまだ出ていないがシイタケと全く同じシチュエーションにある!すなわち、外国産と国内産で価格差が大きい!輸入量が多い!それを防ぐための技術として品種識別技術や原産国判別技術の開発が重要である!(この話題については化学的な内容で私が苦手とするので触れたことがありませんね)

4. おわりに →今現在、興亡の岐路に立つアラゲキクラゲの国内生産で重要なのは国内産の持つアドバンテージ「安全・安心」を有機JAS認証取得等を通して死守することにあり!

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こんな感じでしょうか・・・
もちろん論文ですから実際の内容は明確な数字を出して説得力のあるものにしていますが、ぼやかしながら(著作権の関係ですね、はい)箇条書きにしてみるとご覧の皆さんにちゃんと伝わっているかなあと少し心配になります。。

上記は飽くまであらましなのでちゃんと読みたい方は是非、日本きのこ学会の会員になられることをお薦めします。→一応リンクです。

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