きのこ研究者が一般の方から生産者、研究者向けにユルく、時にスルドく「きのこの話題」を提供するブログです! In this blog, mycologist-O provides mushroom topics from the general public to producers and researchers!

コロナ禍で研究者はどのように生き残るのか??

コロナ禍で研究者はどのように生き残るのか??

改めてタイトルを読んでみると研究者の代表みたいなことを書いてますが今回、私が書きたいのはコロナ禍における「私自身の研究活動と研究に対する意識の変化」です。


まずはこの記事を書くにあたり、災禍に立ち向かっている医療従事者の方々に敬意を表したいと思います。また患者の皆様には一刻も早い快癒をお祈りしています。今回の記事を読んでいただければわかりますが私の研究も日本だけで完結するものではありません。日本だけでなく、世界が早く元通りに、平穏を取り戻すことを願っています。



コロナ禍による今の状況に陥ってすでに2年近く経とうとしています。

医療従事者や患者の方々とは比べ物になりませんが私の研究生活も大きく変わりました。研究者としての在り方(言い換えれば「どのように生き残るのか」自体が変わりつつあることを強く感じています。これから研究者を目指すような方も参考にされては、と思います。※ただし私のような木端研究者の体験・私見なので全ての研究者の方々が当てはまる訳ではありません。

 
コロナ禍においてきのこ研究者Oは生き残れるのか?

まず、コロナ禍によって私の研究活動において大きく変わったこと、ダメージを受けたことを列挙してみたいと思います。

1.海外研究生の受け入れ中止
2.学会活動の停滞
3.オンライン講義、ブログの導入

このあたりでしょうか。

まず一番痛かったのは「海外研究生の受け入れ中止」です。
どこの国の人とは言わないですが何十回と慣れない英語のメールでやりとりをして限られた研究期間に確実に結果が出るように研究プロジェクトを立ち上げ、先方の国で予算を獲得、入国管理局で各種書類を入手、国際便で送付し、随分と時間をかけました。


写真は参考画像です

研究生が博士課程2年(Wow! なぜその大事な、というか微妙な時期に先方が海外における研究を計画したのかは不明)で修了に大きく関わる仕事になりそうだったので失敗が無いように綿密に1年以上、準備したのですが・・2020年の初夏あたりに来日予定だったのが延期に次ぐ延期で最終的に日本へは入国できそうだったけど先方の国が完全にアウト(所属機関や予算関連機関が完全に活動停止)となりました泣。

向こうからの依頼だったことと、研究費等の予算は先方で取得する予定であったため、主だったマネージメントは私ではありませんでしたが私が初めて責任を持って海外研究生を受け持つ予定だったことと、今回のプロジェクトには今後の双方研究機関間における関係性の発展も期待していたので本当にがっかりでした。わたしの友人にもいますが海外事業への派遣が中止になったという話も聞きます。皆さんの周りでも準備に準備を重ねた海外への留学や旅行などが延期や中止になった方も多いのではないでしょうか。


写真は参考画像です

次に「学会活動の停滞」ですがこれは学会によって大きく対応が違っていると思います。私の所属する学会は3つくらいあるのですが学会によってはオンライン大会を導入しておらず、2年間もの間、大会が延期されていたりします。また他の学会もオンラインでの参加者を集めることに苦労しているようです。特に企業は情報が駄々漏れになる危険性があるため、成果の報告を控えているところもあるとのこと。

※大会(学会大会)・・学会発表を中心とする研究成果を報告するイベント。概ね、年に1-2回あります。人によっては知り合いの生存確認、年に1度の旅行(デスクワークやラボワークを主とする研究者にとっては気分転換)と化しているケースもあるようです(諸説あります)。

実はこの学会活動の停滞が研究活動に打撃を与えています。学会活動が止まるということはつまり成果発表の場が限定され、研究者としての存在意義にも関わるのです。もちろん論文を書いて発表することも選択肢の一つですが。

でもきのこの栽培学、育種学はあんまり頻繁に論文を書けない分野なんですよウチ民間企業だしゴニョゴニョ(言い訳)

このような学会活動の停滞→研究成果の発信力低下が私の研究者としての”今後の在り方”(どのように生き残るのか)に対する考え方の変化に繋がっています。


写真は参考画像です

3番目は「オンライン講義、ブログの導入」です。
先日アップした「兵庫県立小野高等学校、科学探究科にて講演会実施!」では栄えある(笑)Zoomデビューでした!→LINK!

今までもネット会議には参加していたのですが見る専(笑)だったので初めてのオンライン講義はどうなるかと思いましたが、どうにか学生さん達には興味を持って見てもらえたのでは、と思っています。ただし、話している相手が多いとどのような反応をしているのか分かりづらいことは今後の課題ですね。また、今回の講義ではオンラインにおける相手への伝え方の難しさも感じました。


オンライン講義中のデスク

これからはコロナ禍がたとえ落ち着いたとしてもこのようなオンラインによる会議や講義、発表が当たり前になっていくんでしょうね。だって移動時間や交通費もかからないし。でもオンラインよりも直接話した方が伝わる熱意などは違うと思いますし、私個人としては対面でできる状況に早く戻ってほしいですね。

あと、ブログの導入ですが、
この厳しい状況下、様々な人がこの現実に立ち向かって転職したり、新しいビジネスチャンスと捉えたりと逞しく生きる姿に触発されたのが理由の一つです。それと同時に、学会活動が大きく停滞したことで研究者として危機感を感じ、研究者としての存在意義が問われる!これからの時代、研究者は自ら発信する能力を磨かなければならない!と強く感じたのがこのブログ開設の始まりでした。

きのこ関連の人気ブログは数多ありますし、研究機関が運営しているサイトはたくさんありますが「きのこの研究者」が個人でやってるブログってホントないですよね!まあ、きのこの研究者ってどちらかというとマイナーですし、需要がそこまでないことが理由かもしれませんが(泣)・・誰かの参考になることを願ってこの記事も綴っています。

[まとめ]
このブログをご覧の皆さんもコロナ禍により大きく生活や就労が変化したのではないでしょうか。しかし、このような厳しい状況をプラスに変えるような人たちも多く、私のような些末な人間もちょっとした意識改革をしてこの危機を乗り越えようとしていることを知ってもらいたくて今回の記事を書きました。また、残念ながらこれまでの経験から人生観や研究者観が大きく変化するレベルの経済的ショックや自然災害など抗いがたい脅威に見舞われることは今後も避けられないと個人的に思っています。その時のため、私自身が今回の脅威にどう対処したのか、個人的な備忘録として今の気持ちを形にしたという感じでもあります。このブログもいつまで続けられるか分からないですが継続することが大事だと思うのでぼちぼち続けていきたいですね。これからもお付き合いよろしくお願いします。

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