きのこ研究者が一般の方から生産者、研究者向けにユルく、時にスルドく「きのこの話題」を提供するブログです! In this blog, mycologist-O provides mushroom topics from the general public to producers and researchers!

「きのこと持続可能性」兵庫県立小野高等学校、科学探究科にて講義実施!

兵庫県立小野高等学校、科学探究科にて講義実施!

毎年、お招きいただいている兵庫県立小野高等学校における私の講義も今年で5回目となりました。元を辿れば「平成30年度ひょうごスーパーハイスクール事業」の[普通科科学総合コース]セミナー講師としてご依頼いただいたのですが、一昨年からはなんと小野高等学校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、コース名も[普通科科学総合コース]から[科学探究科]として独立しています!
→兵庫県立小野高等学校についての詳細はこちら

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)についてご存知ない方もおられるかと思いますのでこの制度について記載しておこうと思います。

国立研究開発法人科学技術振興機構によると「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」とは次世代人材育成事業であり、

高等学校等において、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進します。また創造性、独創性を高める指導方法、教材の開発等の取組を実施します。

→詳細は国立研究開発法人科学技術振興機構ホームページへ

とのことで非常に優秀な高校が選ばれます。そのため、小野高等学校の科学探究科も当然、例に漏れず、優秀な学生さんが集まっており、好奇心旺盛で且つ、鋭い質問も飛び出してくるので私自身、この講演会を今回も楽しみにしていました。

が、しかし

そこはこのコロナ禍!!
残念ながら鳥取県から兵庫県への出張許可が上司から下りず、残念ながらZOOMによる講演と相成ってしまいました(-_-;)

しかし、折角頂いた機会を大事にしたかったので学生さんには菌床(→菌床についての詳細はこちら)から発生した本物のきのこを冷蔵便にて送りました!毎年きのこは持って行っているのですが今回は自分の手を離れての初めての輸送ですので「きのこが壊れてないかな」「予想以上にカサが開いてたらどうしよう」とか実は結構ドキドキでした。

↓送付したきのこたち。左がアラゲキクラゲ、右がヤナギマツタケです。

さて、当日2021年6月14日。
初めてのZOOMで緊張しましたがどうにかミーティングルームにインできました。

実は私のZOOM経験不足によりスムーズにいかなかったのですがそれについてはゴニョゴニョ



↓当日のデスクのセッティング!
夢のパソコン2台使い!?というわけではなく、私の旧型(2011年式)のデスクトップにはカメラは当然無く、手前のマイラップトップを使用しました(こちらは2020年式!)。そして横にあるのは実体顕微鏡です。右の接眼レンズにデジタルカメラを接続しています。今はこんな便利なものがあるんですよねー。昔はデジカメをつけようとしたら50万じゃ足りなかった記憶があります。

机の上が汚いのは研究者としてのあるべき姿です(嘘)



今回のタイトルは「きのこと持続可能性~きのこが寄り添う人・社会・環境~」。食卓にもよく並ぶきのこと最近、よく話題に上がる[Sustainability](持続可能性)の関連性について科学探究科の1年生40人の皆さんにお話しました。

おはなしはまず今回のキーワードである[Sustainability]について知ってもらうところから。
↓最近はSDGs等でこの持続可能性については見聞しますが端的に説明してくれる人がなかなかいないので一枚のスライドで表現してみました。→SDGsについての詳細はこちら



さて、ここからが本番です!今回の講義は大きく分けて3つの章で構成しました。
まず第一章に当たるのが「きのこってなに?~きのこの正体からその生態まで~」でした!
身近な食材であるにも関わらず意外に知られていないきのこの正体についてのおはなしに始まり、地球の歴史を変えた(!)その能力や自然生態系における役割についてです。今回は菌床きのこと共に、シイタケ菌を寒天培地上で培養したシャーレも数枚、送ったので普段は「きのこ」(子実体)の姿でしか見ない、この生物の”真の姿”を知ってもらえたのではないでしょうか。

↓きのこには腐生菌や共生菌、寄生菌といった自然界における様々な生き方があるんですね~



そして第二章が「主役?脇役?食卓におけるきのこ~きのこの栽培から食文化まで~」でした!
主役なのか脇役なのか、その議論は置いといて(笑)、ここではシイタケのように出汁を取り、様々な料理のベースとなるような主役級の役割を為す時もあれば、ひっそりと(?)付け合せ的な位置づけで扱われることも多いきのこが実は美容と健康の観点から栄養素を多分に含み、優秀な食材であり、日本の(食)文化の継続性において重要な位置づけにあることを知ってもらいました(しかも低カロリー!)。

そして、きのこ栽培において使用する材料が山林を由来とする樹木をベースとし、農業副産物も活用するエコフレンドリーな農業(環境保全型農林業)であり、他の農業と比較しても日本のきのこ栽培が今回のタイトルにある「持続可能性」に大いに貢献していることをお話ししました。受講頂いた皆さんにもきのこ栽培と持続可能性の関連についてよく理解してもらえたのではないでしょうか。



第三章では「国内・地域におけるきのこ産業の持続的発展を支える研究」についてでした
ここまできのこやきのこ産業が支える人や地域、自然界の持続性についてお話をしてきましたがこの章ではきのこ産業自体を支える研究の姿を私たち、菌蕈研究所の研究を例に挙げてご紹介しました。



原木シイタケブランド化の現状から胞子による問題を抑止するエリンギ無胞子性栽培品種、さらには近年話題の国内産アラゲキクラゲの現状と課題についてまで国内きのこ産業の現状を語らせてもらいました。


そして、三章にわたる講義の後は最後の山場、きのこ(子実体)観察です!
今回送ったヤナギマツタケとアラゲキクラゲをこちらの実体顕微鏡でリアルタイムで撮影しながら学生さんと共有しました。オンライン観察は初めてで向こうの様子がどうなっているのか実はよく分からず、うまくいったのかどうかもよく分からなかったのですが時々聞こえてくる歓声からまずまずの反響はあったのかなーと感じました。

↓ヤナギマツタケのヒダ(カサの裏)を観察中!


今回初めてZOOMを使ってオンライン講義をやりましたがこの問題点は相手の反応が分かりづらいところですねー。最後にやった実習・観察のところも含めて正直なところどこでウケているのか、とか誰それが眠そうにしている(笑)、とかが全然わからず、もちろん私自身、自信を持って準備をした講義ではあるものの、どこかに問題があったか、学生さんが分かり難そうにしていた箇所は無かったか、などは判然としませんでした。。これはこのような形式の講義における今後の課題となるでしょうね。


[まとめ]
今回、私は三章にわたり、きのこと持続可能性に関する最新情報を学生さんに向けてお話ししました。専門性が必要な講義ですのでやはり私の場合、「きのこ」を中心とした内容になってしまうのですが、科学探究科の学生さん達はこれからも様々なプロフェッショナルの方々の講義をSSH事業の一環として受けるとのことです。色々な分野の話を聞く中で学生さんに是非とも意識していただきたいのが「自分の視野を広げる」ことです。

きのこ産業もきのこを栽培する人だけでなく、品種を開発する人、栽培材料を育てる人(例えば米ヌカならコメ農家さん)、栽培したきのこを輸送する人、スーパーなどで売る人、お客さんなどたくさんの人が直接的、間接的にきのこ産業に関わっていますよね?このように世の中のあらゆることは「それだけ」で成り立っていることはまずありえません。だから将来的に何か取り組んでみたいと思うことがあればその周囲の、それ以外のことにも目を向けることが案外、夢への第一歩だったりします。今回講義を聞いてくれた若い人たちの前途に大いに期待したいと思います。

[ご質問や講演ご依頼等は「お問い合わせ」ページにて承ります←Click!
「お問い合わせ」ページが一部機能しておりませんでしたので修正しました。大変お手数ですがご質問等頂いた方は再度、お問い合わせ頂きますようよろしくお願いいたします。

最新情報をチェックしよう!