きのこ栽培のおはなし①「菌床栽培ってどうやるの?」
・きのこ栽培には主に原木栽培と菌床栽培があるよ!
・菌床栽培ではオガクズやヌカなどを混ぜて作る菌床を使うよ!
・菌床は殺菌後、菌を植えて一定期間培養するよ!
[菌床栽培ってどうやるの?]
ここまで何かときのこ!きのこ!とお話をしてきましたがそもそもきのこ栽培ってどうやるの?というお言葉を頂戴しましたのできのこ栽培について書いていきたいと思います。私は菌床栽培が専門なのでこちらをメインにお話をしていきます。
栽培の方法にはいくつかあります。
代表的な栽培法は原木栽培と菌床栽培ですね。
原木栽培は主に広葉樹の丸太(原木)を材料に行う栽培法です。そこにドリルなどで穴をあけ、菌を受け付けます。原木栽培は後述するような滅菌や無菌室などの難しい工程、初期投資が必要な工程が少ないため、古くから行われています。現在もシイタケを筆頭にいくつかのきのこで栽培に採用されています。しかし、手軽にできる菌床栽培が主要きのこでは優勢となっており、原木栽培のシイタケは「高級品」という位置づけになっているように私は感じます(実際、原木栽培の方が菌床栽培より香りや味が強く美味しいです)。
我が家でやっているシイタケの原木栽培の様子です。
今年も100個くらい採れました!!
このように原木栽培では自然の丸太そのままの姿で使うのですが、菌床栽培は「菌床」という人工的なきのこのためのお家を準備してあげます。
菌床はいくつかの材料を混ぜて作ります。
まず、土台となるのが「基材」、そしてそれを補うのが「栄養材」です。
基材には主にオガ粉(オガクズ)を使います。オガ粉以外に実際に使われている基材の例としてサトウキビの搾りかす(バガス)やトウモロコシの芯(コーンコブ)などがあります。
栄養材で最も一般的なのは米ヌカや小麦ヌカ(フスマ)などです。他にも豆腐を作るときにできる大豆の搾りかすであるオカラやソルガム、トウモロコシ加工品の副産物などがあります。
↓原木栽培と菌床栽培の違いについてまとめると下のようになります。
共通点として両栽培法は国内に豊富にある山林に由来する木や農業副産物を有効に利用します。
これら基材と栄養材をそれぞれのきのこに適合する配合で混合し、水を加えてさらにまぜまぜした後、ビンに詰めたりブロック状や円柱状に固めた後に殺菌(滅菌)します。殺菌直後は熱いので冷ましたあとに菌を植えます。このような菌を植える過程を「植菌」と言います。
タネではありませんが菌床栽培では種菌(しゅきん)というものを使います。
↓この中にきのこの菌糸がわんさと含まれています。
本来オガ粉を主体とする菌床は茶色ですが菌糸が繁茂したことで白くなっています。
植菌後は20-23℃、湿度65%程度の暗い部屋に置いておきます。これを「培養」と言います。ぬくぬくとこのような環境で培養することで菌糸は菌床全体に充実します。
実はきのこによってこの培養期間は異なり、エノキが30日未満、エリンギは30日程度、アラゲキクラゲやマイタケが60日程度、ブナシメジやシイタケは90日もかかります。
↓菌床栽培における菌床を作る工程はこのような流れとなります。
これを見れば菌床栽培がどのように行われているかよく理解していただけるのではないでしょうか。
最近では大手企業を中心に基材としてトウモロコシの芯(コーンコブ)を使った栽培が行われています。私としては国内きのこ産業のSDGsへの貢献を考えて国内森林資源や少なくとも国内にある農業副産物を使うことが好ましいとは思います。が、企業としては利益を追求する必要があることもわかりますし難しいところですね。→これについては詳しくはSDGsのおはなしへ
[まとめ]
実際のところ、きのこを良く食べる人でもどうやって栽培しているかまでご存知の方はかなり少ないと思います。これを機に普段食べるきのこも他の食品や農産物と同様、生産者によって作られていることを実感してもらえると嬉しいですね!
次はいよいよ「きのこを発生させる工程」についてです!
・きのこ栽培には主に原木栽培と菌床栽培があるよ!
・菌床栽培ではオガクズやヌカなどを混ぜて作る菌床を使うよ!
・菌床は殺菌後、菌を植えて一定期間培養するよ!