きくらげのおはなし④「課題を克服し、国内生産基盤を強化できるのか!?」
・ アラゲキクラゲ生産急増10年間で約7.7倍に!
・外国産キクラゲの不信感!国内産はどうなの!?
・鳥取県の乾燥アラゲキクラゲ生産量は国内2位に!
・アラゲキクラゲは圧倒的に品種が少なく、たった9品種!
↓詳しくは記事を読んでね。
さて、前回までにアラゲキクラゲの国内生産の一例として乾燥アラゲキクラゲ生産量、国内2位である鳥取県における生産状況とSDGs達成に向けた貢献についてお話しました。
アラゲキクラゲの国内生産は10年間で約7.7倍も増加しました。この急激な成長は喜ばしいことではありますが今まで見逃されていたアラゲキクラゲ生産や栽培における様々な問題を浮き彫りにしました。今回はこの問題・課題について掘り下げていきたいと思います。
[栽培品種が少ない!]
きのこも動植物と同様、“品種”というものが存在します。2021年現在、最も品種が多いきのこはシイタケで220品種以上、農林水産省に出願・登録されています。ではアラゲキクラゲは何品種くらいあると思いますか?
いやいや。。
実はたったの9品種です。(出願中のものを含む)
引用→農林水産省品種登録ホームページ (maff.go.jp)
以下をご覧ください。
やはり外国産に依存していたことが大きいと思います。
そのため、これまで国内で新たな品種を作る必要が無かったというわけです。
そして急激な生産量の増加により同じ栽培品種ばかりが国内生産現場において栽培されると一体どんなことが起こるかというと・・
同じ栽培品種ばかりが生産されるとそれに対して強い外敵(病気)も同様に増加します(このあたりは生態系、食物連鎖の常ですね)。その栽培品種が何らかの病気に脆弱であった場合、国内生産が甚大なダメージをこうむる可能性が否定できないのです!!
というわけで各所、急ピッチで現在、新しい品種を開発しているようで昨年あたりから新品種開発の協力依頼のようなものが私の所にも度々来ています。
前回の記事[きくらげのおはなし③「激化するアラゲキクラゲ生産!鳥取県は生き残れるのか!?」]や[アラゲキクラゲ栽培品種「菌興AP1号」のご紹介]にも書きましたが(一財)日本きのこセンターでは「菌興AP1号」(出願番号34132)というアラゲキクラゲの栽培品種を開発し、国内、特に鳥取県内におけるアラゲキクラゲ生産基盤の強化を図っています。
あと、おまけではないのですがこれまでに(一財)日本きのこセンターでは白いアラゲキクラゲもこれまでに開発しています。色素を作らないため、一般的に茶から赤、紫色のアラゲキクラゲと異なり、真っ白となります。
あまり良い写真でなくて不満(~_~;)なんですが「菌興92号」といいます(登録番号28145)。
これも私が開発に携わった品種です。
ここで注意!!
※よく「白いアラゲキクラゲ」を「シロキクラゲ」として販売している生産者や業者さんがおられますがこれは間違いです。シロキクラゲはアラゲキクラゲとは全く別の種類のきのこです。
アラゲキクラゲ→Auricularia polytricha
シロキクラゲ→Tremella fuciformis
消費者の皆さんはご注意を。あと、生産者、業者の方はご留意ください。
今回は「課題を克服し、国内生産基盤を強化できるのか!?」という内容でアラゲキクラゲの栽培品種がたった9品種であり、病害等に対して脆弱になりかねないことを書きました。国内生産における課題はまだまだあるので次回もこの続きを書きたいと思います。
→次の記事きくらげのおはなし⑤「アラゲキクラゲ国内生産の脅威~病害虫~」
今日はここまで!
・ アラゲキクラゲ生産急増10年間で約7.7倍に!
・外国産キクラゲの不信感!国内産はどうなの!?
・鳥取県の乾燥アラゲキクラゲ生産量は国内2位に!
・アラゲキクラゲは圧倒的に品種が少なく、たった9品種!