(一財)日本きのこセンター菌蕈研究所公認記事
アラゲキクラゲを含めたキクラゲ類の国内流通量の90%以上は実は外国産です。しかし、近年の食の安全に対する意識の高まりからキクラゲ類においても国内産が求められています。また、最近では外国からの輸入菌床を用いて栽培されたものが国内産として販売されているケースも多く、出自が明らかな国内産菌床を用いて栽培されたアラゲキクラゲが求められています。
アラゲキクラゲは加温や加湿などの設備の無いビニールハウスのような簡易施設でも栽培できることから生産が急増しています。これまでに(一財)日本きのこセンター菌蕈研究所は「多収性」で消費者や外食産業等の実需者に好まれる「濃褐色」のきのこを安定して発生するアラゲキクラゲ栽培品種「菌興AP1号」をご紹介しました。(→「菌興AP1号」ご紹介ページ)
左:菌興AP1号(一般的な褐色のアラゲキクラゲ)
右:菌興92号(白色アラゲキクラゲ)
ここでは私が育成したアラゲキクラゲの白色栽培品種「菌興92号」(登録番号28145)をご紹介したいと思います。一般的なアラゲキクラゲは写真(左)のように褐色ですが「菌興92号」は完全な白色です(写真右)。白色アラゲキクラゲの農林水産省への登録品種は2021年7月現在、(一財)日本きのこセンターが育成した品種のみであり、非常に貴重です。未登録の品種も市場に散見されますが、私たちは自信を持って品種登録をした白色アラゲキクラゲを生産者、消費者の皆様にお届けしています。
さて、白色アラゲキクラゲについて既にご存知の方もおられると思いますが白色品種は一般的な褐色のアラゲキクラゲと比較して栽培が難しく、収量が少ないと思っておられるのではないでしょうか。「菌興92号」は一般的な品種と同等の収量性を示すと同時に白色アラゲキクラゲの栽培において特に大きな問題となるきのこの褐変による商品価値の低下が少ない品種です。
白色アラゲキクラゲ栽培における褐変には以下のようにいくつかのパターンがあります。
・栽培中の褐変
・収穫の遅れによる褐変
・収穫後の褐変
・乾燥後の褐変
この褐変を防ぐ栽培方法と収穫後の処理法を(一財)日本きのこセンターでは独自に開発しており、「菌興92号」の導入をお考えの生産者の皆様にそのノウハウを提供させていただいております。乾物は写真(左)のようにやや着色しているように見えますが独自技術を用いているので戻すとこの通り、真っ白に戻ります(写真右)。
左:乾燥した白色アラゲキクラゲ
右:湯で戻した白色アラゲキクラゲ
私ども(一財)日本きのこセンターはこれらアラゲキクラゲ種菌の提供とともに安全安心な国内産菌床(菌興AP1号、菌興92号)の手配も行っておりますので菌床製造設備を持たない生産者の皆様もビニールハウス等の簡易施設があればすぐにでもアラゲキクラゲ栽培を行うことができます。
アラゲキクラゲ栽培にご興味をお持ちの方は下記まで
一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所
Address: 鳥取県鳥取市古郡家211
TeL: 0857-51-8111