きのことSDGsのおはなし②「きのこ研究者Oが見据えるSDGsとは?」
・きのこ栽培はSDGsにおける5項目に関わる持続可能な環境保全型農林業!
・きのこについて知ることはSDGsに貢献する!?
・SDGsへの取り組みは産官学の枠組みを越える国内きのこ産業全体の課題!
↓詳しくは記事を読んでみてね~
前回までに樹木を使って行うきのこ栽培はなんと国連が定めた国際目標であるSDGsにも貢献できる!と書きました。今回はさらにSDGsときのこの関連と、研究者として私自身が貢献できる側面についても考えてみようと思います。
他にも何かないのかな??
きのこ栽培が一般的な農業と異なる点としてほぼほぼ農薬を使わないところはポイントとなりますね!一応、農薬は存在するみたいですが私の知ってる範囲では農薬を使っている生産者は見たことがありません。この点は下記の「12つくる責任つかう責任」や「14海の豊かさも守ろう」「15陸の豊かさも守ろう」があてはまりそうですね。
他に栽培が終わった後の菌床(廃菌床)や廃材などがきのこ栽培では発生しますが、この廃棄物の処分・活用方法は「12つくる責任つかう責任」に関連して私自身が研究者としてSDGs達成のために考えていかなければならないことだと思っています。
日本きのこセンターではアラゲキクラゲの廃菌床を農家さんに配布しています。
畑に漉き込む肥料として使うのだそうです。
実は私が最近、SDGsへの貢献の一環として力を入れていることの一つがきのこに関する教育活動です。この前に開催した道の駅西いなば気楽里さんでの講演会やこのブログでお話ししていることも教育活動にあたると思います。
「きのこ」というのは食卓によく並ぶ食材ですよね?
でもいったいどのように栽培されているのか?、それ以前にどんな生き物か?すらご存知ない方が多いと感じています。
そういった中でこのような講演会を通して理解を深めていただくことは以下のような観点からSDGsにおける広範な目標に貢献ができるのではと考えています。
・きのこを野菜や肉にならぶ第3の食材として知っていただく食育的観点
→「3すべての人に健康と福祉を」「4質の高い教育をみんなに」
・きのこ栽培で必要な国内森林資源について知ることによる環境に対する意識向上
→「11住み続けられるまちづくりを」をはじめとする13-15の目標
↓以前行った講演活動の例です。おわかりいただけたであろうか・・・左に見えるのは「ウマ」です笑。
[国内きのこ産業の課題]
これまで国内の樹木を使用することは山林の維持管理に繋がり、それが様々な問題を防止することに役立つ、それがひいてはSDGs達成にも貢献すると書きました。しかし、現在、国内では大規模な生産を行う企業が率先し海外からオガ粉の代わりになる安価な原材料を輸入しています※。燃料を使い、多量のCO2を排出してわざわざ海外から入手することが果たして良いことなのでしょうか?熾烈な価格競争のため、必要なことなのだとは思いますが消費者である皆さんはどのような材料できのこが栽培されているか、もし可能なら購入されるきのこについて調べてみてはいかがでしょうか。どんな原材料を使っているかは企業が公表していたり、パッケージに記載されていたりとある程度のことは分かります。
※オガ粉以外の一部原材料については確かに国内で入手が難しい側面があり、輸入に頼らざるを得ないのですがその割合は菌床中の1割程度です。しかしオガ粉の代わりとなると9割近くとなります。
[まとめ]
実はいま、国内のきのこ需要は停滞状態にあります。人口も増えませんし厳しい状況は今後も続くかと思われます。このような状況を打開するためにはSDGsのような国際的な目標に国内きのこ産業が積極的に取り組み、海外での信望を得ることが必要と私は考えています。しかし、民間企業だけではその取り組みにも限界があると思います。これはきのこに限ったことではありませんが他の国産農作物とともに海外でのブランディングを考える上で、今後の産官学の枠を超えたSDGsへの取り組みが期待されます!
→次の記事きのことSDGsのおはなし③「SDGs vs 企業努力 勝つのはどっちだ!?」
・きのこ栽培はSDGsにおける5項目に関わる持続可能な環境保全型農林業!
・きのこについて知ることはSDGsに貢献する!?
・SDGsへの取り組みは産官学の枠組みを越える国内きのこ産業全体の課題!